医学を含む諸科学においては,新たな事実を知るため研究を行ったり他人の研究結果を読み解く必要があります。ここで何らかの事実を述べる際には、実際に実験や観察を行った一部の対象の事実からより広い対象に同じ事実が成り立つことを言う一般化が伴います。しかしここには論理の飛躍が伴い、これを保証するための方法論が必要です。その方法論が統計学であり、この科目で身につけるべき内容です。そこで研究を行い論文を書く際はもちろん、他人の研究成果を読み解く際にも統計学の知識と考え方が必要となります。

 近年では強力な統計ソフトウェアが充実していることから、十分な統計学の理解がないまま多くの手法が乱用されていることが指摘されています。根拠のない解析は間違った研究結果につながり、研究に携わる人々や機関・対象者・公表した内容に関わる人々など多方面に損害を与えます。確率・統計の基本概念を成り立ちなど背景から理解し,各手法の根底にある発想を身につけることが求められます。

 学部1・2年生は実際に解くべき具体的な問題を伴わないため統計学を学ぶ動機づけに欠ける時期ではありますが、数学の知識が豊富であるためこれに関わる基盤からの統計学を学ぶにはむしろ絶好の時期ともいえます。数学的な基礎から統計を身につけておくと、将来より専門的な手法を学ぶ際にもはるかに有利になります。安易なhow toを求めず長く用いられる基礎を身につけてください。

 将来の目標として1.医学論文の統計解析について読みこなせること。2.自らの研究において行う解析の意味が十分に理解できること。3.必要なときに統計の文献を読みこなし、統計家と議論することで、より広い解析ができること。などが挙げられます。

 データサイエンス1では基本的な確率から始め、得られたデータを整理する記述統計の方法と、その二つを組み合わせて一部データから全体を推測する推測統計学の基本を学びます。