ミクロ経済学は希少な資源を誰にどの条件でどれだけ配分するかという資源配分のからくりの解明を主目的とする。次の4つの段階を踏んで講義を進める。第1に、ミクロ経済学の基礎となる需要供給分析を通じて「完全競争市場」において発揮される価格メカニズムの機能を理解する。第2に、価格メカニズムが成立する前提条件を吟味し、これが満たされない場合に起こる「市場の失敗」を学ぶ。第3に、さらにこの市場の失敗の帰結を補正するために登場する公共部門のとりうる手段の概要を学ぶ。最後に、公共部門も完全とは限らず、「政府の失敗」の可能性とこれへの対応を理解する。
 ただし、上期の「ミクロ経済学」の講義では、主に第1段階の価格メカニズムの機能を中心に議論し、情報の非対称性とゲーム理論の入門に触れて、第2段階以降の準備とする。市場の失敗から政府の失敗とその対応については、下期の「公共経済学」でカバーする。
 以上の4段階において、いずれも経済現象とこれに対する政策を紹介し、経済・社会の実態を経済学的に解釈することを通して、ミクロ経済学の基礎的な理論を理解することを目的とする。さらに、望ましい政策・制度の設計のために、ミクロ経済学の理論を道具として使いこなすための準備を行うことも目標とする。古典的な消費者理論、生産者理論、市場均衡分析、余剰分析、厚生経済学に加えて、情報の経済学やゲーム理論まで、多くの応用例を用いて学習する。とくに、政策評価の基礎となる厚生経済学(余剰分析)について深く学習する。専門用語には英文を併記し、ミクロ経済学の理論に関して、より正確な理解と検討を促す。